ピラティスとは

ピラティスとは

 ジョゼフ・ヒューバータス・ピラティス(1880-1967年)がピラティス・エクササイズの創始者です。

彼は元々病弱な子供で(喘息・くる病・リウマチ熱)、自分の健康状態を改善しようと、ボディコンディショニングのプログラムに没頭しました。そして、第一次世界大戦以降負傷兵のリハビリに寄与しました。その技術が後に多くのトップダンサーやトップアスリート達の指示を得て、ピラティスといわれるエクササイズとして広まりました。

 ピラティスはマンネリ化した運動から、違う自分を発見させてくれるエクササイズです。

 ピラティスは、西洋と東洋の哲学(理念)を基に、人間本来の心と体が持つ力によって、生活の質(機能性)を高めていくためのエクササイズとして考え出されました。もともと負傷兵のためのリハビリとして考え出されたものなので、決して無理をすることなく、ゆっくりとしたペースで行っていきます。

 ピラティスでは、頭を使って(考えながら)神経を集中させて、ご自分の身体を感じながら身体を動かします。こうして正しい場所に意識を集中させることで、それぞれの筋肉をより最良の状態で鍛えていきます。それは身体の表面の筋肉だけに的を絞るのではなく、より深い部分にある筋肉も使い、長くすっきりとしたバランスの良い筋肉を作り出し、身体全体をすっきりとした体形に整えていくのです。

ピラティスの基本の3本柱

 ピラティスを行うには、3つの重要なポイントがあります。ピラティスのABCとも言われ、このうち一つでも欠ければ、それはもうピラティスとは言えません。この3つのポイントをしっかり理解し、その上でエクササイズを行う事がピラティスなのです。

A=アライメント

 ピラティスを行うにあたってまず大切なのは、正しい姿勢を意識することです。本来あるべき骨や関節の位置配列を意識することで、生活習慣からくる姿勢によって起こっていた,肩こりや腰痛などを軽減し、ピラティスエクササイズをしていく上で大切なより深い呼吸を行うことが出来ます。バランスのとれた良い姿勢には、バランスのとれた筋肉が備わっていくのです。

B=呼吸(ブレス)

 正しい姿勢を維持することは、肋骨で囲われた左右の肺をめいいっぱい広げやすく、深い呼吸へと導いていきます。 ピラティスの呼吸法は、胸式ラテラル呼吸と言い、ヨガの腹式呼吸とは違っています。吸う時はゆっくりと静かに鼻から吸い、吐く時は口角の筋肉も楽にして、長いため息を静かに吐き出すように顎をリラックスさせた状態で『はーーーー』と口から吐いていきます。この呼吸は吸った時に肋骨が横に大きく広がり胸郭の脇と背中側に空気が入ります。吐いた時は広がった肋骨が今度は編み込まれるように閉じていきます。呼吸の改善は、より多くの酸素を取り込み筋肉やいろいろな細胞へと運び、筋肉が作った二酸化炭素をたくさん排出します。酸素がたくさん取り込まれると、脳も活性化され、心も身体もリラックスしてきます。

C=コアコントロール

 身体の中心を強くしっかりさせること(骨盤や坐骨を支える筋肉を鍛えること)で、身体のゆがみを直してバランスを整え、安定した力を発揮できます。その身体の中心をコアと呼び、コアで力をコントロールすることを、コアコントロールといいます。正しい姿勢と深い呼吸法により、腹筋群と脊柱を安定させるコルセットが出来てきます。そのコルセットによる力のガードル(パワーハウス)が内臓を保護し、脊柱をまもり、無理なく身体を曲げたりひねったりできるようにしてくれます。

本当にピラティスって効果があるの?

『10レッスンで気分が良くなり、20レッスンで見た目が良くなり、30レッスンで完全に新しい身体になります』

                                             -Joseph Pilates

 ピラティスを正しく行うことができると、ピラティスの云わんとした事が感じて頂けると思います。ではピラティスを正しく行うにはどうしたらよいのでしょう。ピラティスはただの筋肉トレーニングではありません。まずエクササイズを行うにあたって必要なことがあります。

 ピラティスのABCをご存知ですか?Aはアライメント、簡単に言うと正しい姿勢です。骨や関節が正しい位置にあれば、それに伴う筋肉群もバランスが良くなるはずです。次にBはブレス、呼吸です。ピラティスの呼吸は胸式ラテラル呼吸といって、肋骨を使って肺をめいいっぱい膨らませて深い呼吸を行っていきます。ピラティスは子供のころ喘息だったので、呼吸をとても重要視しました。そしてCはコアコントロール。コアとは身体の中心、体幹をいいます。このコアを安定させ強化していくことが、ピラティスの目的ともいえるでしょう。これらのアライメント・呼吸・コアをしっかり意識した上で、それぞれのエクササイズを行うことがとても重要です。

 また、ピラティスのエクササイズは、無理に頑張る極限トレーニングではありません。コアを安定させながら、今ご自分が動かせる範囲(可動域)で身体を動かしていくのです。長らく歯を食いしばって頑張ってこられた方には物足りなく感じられるとは思いますが、目的意識を変えてご自分の可動域を広げる為のエクササイズとして感じてください。今使われている関節・筋肉がほぐれていくのを感じていくことがとても大切です。こうして深層まで柔らかくて、強い筋肉に整えていくのがピラティスエクササイズです。以上のように基本に忠実に、回数よりも正確にエクササイズを行えば、ピラティスがいっている事をご理解頂けるでしょう。

 ピラティスの効果を高めるには、前述したピラティスのABCをしっかりと意識して、ひとつひとつのエクササイズを丁寧に行う事はもとより、コアの感覚がしっかり掴めるように毎日呼吸の練習をしっかりと続けましょう。日々の継続した積み重ねにより、呼吸法の安定とそれに伴ってコアが安定強化されてきます。それは、しいてはエクササイズへの良い影響となって、ピラティスの効果を高めてくれるでしょう。また、より効果を感じるためにも、週1回の練習より週2~4回続けることをお勧めいたします。もちろん毎日でもOKです。

ピラティスにも種類があるの?

 ジョゼフ・H・ピラティスは1967年に火事で亡くなったのですが、後継者を決めていなかったため、弟子たちによってそれぞれに伝えられました。それによって、ピラティスメソッドアライアンス(PMA)と呼ばれる国際的なピラティス認定団体によって認められているピラティス組織だけで、60数団体あるといわれています。

 日本では、FTPの他にもストットピラティス、ピークピラティス、ネヴァダ州立大学ハリウッド校、ポールスターピラティスなどがよく聞かれます。基本理念はどこもほとんど一緒なのですが、各団体により近年のスポーツ医学などに沿って、独自に改良されてきています。また、エクササイズを行っていく上で、重点を置くポイント(例えば全体を通しての流れであったり、etc.)により違いがあります。

スポーツクラブのピラティスって?

 昨今どこのスポーツクラブでもピラティスを行うところが増えてきました。もともとピラティスはプライベートレッスン的なものです。しかし、スポーツクラブでは沢山の方にスタジオプログラムを提供することが必須であるため、ピラティスといえど、少人数制を実施することが困難です。1クラス20~40人で行っているところも多いと思われます。1人の指導者でそれだけの人数に行き渡った指導が可能かといえば、はっきり言って無理でしょう。大雑把に流れを感じるだけになりがちです。

 では、そんな中で如何に効果的にピラティスを行ったらよいのでしょう。初心者であれば、まず姿勢の意識の仕方や呼吸法を焦らずに忠実に行う事だと思います。指導者の声にしっかり耳を傾けて、鏡でご自分をチェックしながら、少しずつ整えていく事です。ついつい他の方と自分を比べてしまいがちですが、ピラティスは自分の身体の施工工事なのです。他の方の動きに惑わされないで、今ご自分が出来る範囲をしっかり感じながら、無理をせず行っていきましょう。

 次に姿勢や呼吸法でコアの安定を感じられる様になったら、エクササイズでは激しい動きを追い求めるのではなく、コアの安定を第一に感じながら、それぞれのエクササイズを行いましょう。そして今自分で動くことが楽な範囲で関節の動きを感じながら、無理をせずゆっくりとご自分の呼吸のペースを乱さないように行っていきましょう。